聖マリア学院大学大学院（看護学研究科修士課程）は、平成22年度（2010年）に開設し、令和6年度（2024年）で15年目を迎えます。開設以来、「カトリックの愛の精神」を基盤にカリキュラムを構築し、高度な看護実践ならびに看護研究を通して人々のいのちと健康に奉仕する看護専門職者の育成を使命としております。
修士論文コースは「健康・療養支援看護学」「MCH（周産期・母子）看護学」「統合看護学」「データヘルスサイエンス看護学領域」の4領域、また専門看護師コースは「慢性看護専門看護師コース」と「母性看護専門看護師コース」の2課程を設置しております。

看護学は実践の科学と言われます。本学の大学院進学を志す方は、臨床の看護実践においてかけがえのないケア対象の方に出会い、そこで生じた疑問（Clinical Question）を研究疑問（Research Question）として表し、研究及び実践を通して探求することで、ケア対象者方にとって最善・最良の看護実践を創出すること、ひいては人々のいのちと健康に資することを使命としておられると言えましょう。

昨今、医科学技術の進歩は著しく、また国内外では自然災害や紛争等、人間のいのちと人格の尊厳にかかわる様々な問題が認められます。そのような社会状況の中で、大学院において学ぶことを通して、修了後、看護専門職である皆様方には何が求められ、期待されているのでしょうか？ここで建学の精神に記されている「常に弱い人々のもとに行き、常に弱い人々共に歩むこと」という言葉に目を向けてみます。
現在の社会状況下で、看護専門職者が関心を寄せる、かけがえのない「弱い人々（脆弱性を有する人）」とは、どのような状況にある人（自他を含む）を指すのでしょうか？また、その人々の「もとに行き」「共に歩む」とは、看護専門職者のどのようなありようを意味するのでしょうか？
本学大学院という学びの場で出会う他者と対話し、考察・探求する機会を通して、皆様方がご自身の力で先述の問いへの示唆を得てくださることを願います。また、本学大学院で他者と協働しながら辿る学修プロセスで得られた示唆ならびに学修成果が、お一人おひとりに与えられた看護専門職者としての使命を果たすうえで、礎石また道標の一つになることを心より願っております。